2015年の犬種登録数ランキング発表。上位御三家は人気減で、多種多様な好みを反映した結果に

　少し前の話だしみなさんすでにご存じかもしれないが、2016年も3月に入り、今年もまたJKCの2015年純血種登録数が発表された。むろんこれは純血種しか載っていない表だし、これをもって犬の絶対数であるわけもないが、参考になるデータであることは間違いない。毎年、自分の犬が増えたとか減ったとか、話のタネに見ている人も多いことと思う。

　さて2015年1月1日〜12月31日の間にJKCに登録された犬種は、全部で134犬種30万1605頭（こちらの犬種図鑑もぜひ合わせてどうぞ）。しかし、Top10の顔ぶれは前年と変わらない（カッコ内は2014年の順位だ）。

1位　プードル（1位：プードル全ての数字で，大半はトイ）
2位　チワワ（2位）
3位　ダックスフント（3位：ダックス全ての数字で，大半はミニチュア）
4位　ポメラニアン（4位）
5位　柴（5位）
6位　ヨークシャー・テリア（6位）
7位　シー・ズー（7位）
8位　ミニチュア・シュナウザー（9位）
9位　マルチーズ（8位）
10位　フレンチ・ブルドッグ（10位）

　Top10は、わずか1か所に上下変動があっただけ。その下も若干の変動はあれど顔ぶれは不変で、ほぼ20位くらいまではランキングの変化はないといえるだろう。ふむふむなるほどねえ、と見て終わっても面白くないので、2014年と2015年を比較した表を作ってみよう。それによって何かが見えてくるかもしれない。とはいえさすがに134犬種分を全部作るのは難儀だったので、とりあえず数字に変動の見える50位を目処に差分の表を作ってみた（ページの下参照）。

顔だけ一見すると分からないが、これがノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー（長い！）　ダックって何？　トーリングって何？　と思ったら、ぜひ「こちら」で図鑑を読んでみてほしい

　50位までに出て来ない犬種としては、2014年は登録ゼロなのに2015年に新たに登録されたものが割と目立つ。
　ドゴ・カナリオ / クランバー・スパニエル / スパニッシュ・マスティフ / スムース・コリー / ローデシアン・リッジ・バック / クロアチアン・シープドッグ / ムーディー / ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー / タイ・リッジバック・ドッグ / スカイ・テリア / アイリッシュ・テリア……。チラホラとまったく聞いたことのない犬種も名を連ねるあたり、勉強不足を感じてしまうが。それにしても、ローデシアン・リッジ・バック（こちら参照）とかノヴァ・スコシア（こちら参照）もついに登録されたのか、と初めて知った。
　トイプーとチワワ、ダックスは、ほかと比べると“激減”といってもよい数字が出ている。激減とはいえ単に比較論の話であって数字としては-10％ですらなく、実際にはまだまだとても多いメジャーな犬種なわけだが、散歩道やドッグカフェ、ドッグランなどではあまり見かけない。いやもちろん見かけるのだが、この数字から想定される頻度にははるかに及ばない。数字だけで言うなら、チワワはコーギーの10倍多く出会わなくてはならないはず。もしかして散歩に連れていってもらえないんだろうか、と人の犬ながら心配してしまう。

　ともあれ、この表そのものにはさほどの意味もないし、わざわざ書くことでもないが、順位が上だから偉いとか下だから偉くないとかそんな話でもない。単に犬仲間の話のタネに、ぜひどうぞ。公式なデータは、それぞれ下のリンクから。

JKC犬種別登録数 2015年

JKC犬種別登録数 2014年

　ところで、1年以上前の2015年の1月のこと、近所のお店でたまたま“犬のバイヤー同士の会話”を聞くことがあった。つい聞き耳を立ててしまったわけだが、そのときの話の中で彼らは

「今年はキャバリアとイタグレ、あとミニシュナが来るね」

と断言していた。そのときは単に“犬屋としてのカン”だろうと思っていて、イタグレオーナーとしてはもし当たったらイヤだなぁと思いながら聞いていたのだが（皆さんよくご存じのように、流行犬種になっていいことなんて、ただの1つもない）、会話の端々に「流行るのが分かってるので、アメリカのイタグレの種メスを日本のパピーミルが買い漁ってるらしくてもうほとんどいないらしい」とか（でもヨーロッパのブリーダーは日本人には売ってくれないらしい、とも言っていたが）「キャバリアはおとなしいから年寄りに飼わせるにはいいんじゃないか」とか、単なるカンにしては妙に生々しいことを言ってたのでずっと気になっていた。
　そしてあれから1年。いざデータが出てきてみれば、全部が全部そうであるとは言わないが、言ったとおりになっていると言っても過言ではない数字が出ている。犬の数そのものは、ここ最近毎年微減を続けているので、その状況を考えると3ケタレベルで増えているのは“流行”といってもよいのかもしれない。ということはもしかして犬の流行りというのは、誰かが意図的に作り出してるものなんだろうか……。

順位	犬種	2014年	2015年	増減
1	プードル	80888	78055	-2833
2	チワワ	53630	51329	-2301
3	ダックスフント	29368	27128	-2240
4	ポメラニアン	15596	16836	+1240
5	柴	12454	12470	+16
6	ヨークシャー・テリア	11902	11969	+67
7	シー・ズー	9371	9454	+83
8	ミニチュア・シュナウザー	7994	8889	+895
9	マルチーズ	8588	8536	-52
10	フレンチ・ブルドッグ	7075	7643	+568
11	ゴールデン・レトリーバー	6108	5634	-474
12	ウェルシュ・コーギー・ペンブローク	5612	5336	-276
13	パピヨン	5291	4902	-389
14	パグ	4310	4477	+167
15	ジャック・ラッセル・テリア	4334	4357	+23
16	キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル	3788	4162	+374
17	ラブラドール・レトリーバー	4085	3998	-87
18	ミニチュア・ピンシャー	3353	3758	+405
19	ペキニーズ	3047	3183	+136
20	ビーグル	3017	2798	-219
21	ボーダー・コリー	2881	2645	-236
22	ビション・フリーゼ	2193	2306	+113
23	イタリアン・グレーハウンド	1776	2071	+295
24	シェットランド・シープドッグ	2157	1986	-171
25	ボストン・テリア	1909	1973	+64
26	アメリカン・コッカー・スパニエル	1501	1522	+21
27	バーニーズ・マウンテン・ドッグ	1463	1330	-133
28	ブルドッグ	1116	1022	-94
29	日本スピッツ	715	840	+125
30	狆	654	642	-12
31	シベリアン・ハスキー	770	632	-138
32	ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア	579	545	-34
33	グレート・ピレニーズ	482	492	+10
34	秋田	370	450	+80
35	ドーベルマン	394	445	+51
36	イングリッシュ・コッカー・スパニエル	312	431	+119
37	フラットコーテッド・レトリーバー	441	373	-68
38	グレート・デーン	372	363	-9
39	ノーフォーク・テリア	396	343	-53
40	ボルゾイ	391	339	-52
41	ウィペット	232	328	+96
42	ダルメシアン	267	323	+56
43	ジャーマン・シェパード・ドッグ	365	273	-92
44	ボクサー	257	271	+14
45	セント・バーナード	220	221	+1
46	ミニチュア・ブル・テリア	187	201	+14
47	サモエド	162	194	+33
48	ワイマラナー	166	175	+9
49	チャイニーズ・クレステッド・ドッグ	266	171	-95
50	ワイアー・フォックス・テリア	156	170	+14

JKC犬種別登録数 2015年

JKC犬種別登録数 2014年