ドッグフードと犬種図鑑 - dogplus.me
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図鑑

シェットランド・シープドッグ

飼い主をひたむきに愛する「牧童のマスコット」。
でも、ちょっとお喋りさんもいる

小型愛玩犬チーム
小型愛玩犬チーム

日本で最も人気があり、登録頭数が圧倒的に多い。抱っこできるサイズ、ぬいぐるみのように愛らしい姿が人気の理由。しかし、小さくても犬は犬。可愛さだけが能ではない。小さな体にいろいろな可能性を秘めている。

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牧羊犬・牧畜犬チーム
牧羊犬・牧畜犬チーム

コリーやシェパードなどの牧羊犬と、ロットワイラーやコーギーなどの牧畜犬。人間の大事な財産である羊や牛の群れを管理するために、なくてはならない存在だった。よく気がつき、油断ない、賢くタフな働き者。

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英名
Shetland Sheepdog
原産国名
Shetland Sheepdog
FCIグルーピング
1G 牧羊犬・牧畜犬
1G 牧羊犬・牧畜犬

シープドッグ & キャトル・ドッグ(スイス・キャトル・ドッグを除く)。家畜の群れを誘導・保護する犬がこのグループです。

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FCI-No.
88
サイズ
シルエット
シルエットについて

身長160cmの人と、FCI犬種スタンダードに掲載されている体高(最高値)のオス犬を表示しました。体高の記載のない犬種は、体重等からみたバランスのよいサイズにしています。ただ同じ犬種でも、体重、性、毛量などにより個体差があります。

原産国
特徴
  • 小型犬
    小型犬

    体重5〜10kgくらいの犬。キャリーバッグなどに入れると思ったより重たいが、公共交通機関での移動は可能。マンション住まいで、廊下やエレベーターといった共有部分での抱っこもできる。

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  • 長毛種
    長毛種

    ロングヘアともいう。毛の長さ、硬さ、ダブルコート(上毛と下毛がある)かシングルコート(上毛のみ)かは犬種による。シングルコートの場合は、長毛種でも意外と抜け毛が少なく、シャンプーなども楽。

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  • ビギナーにもオススメ
    ビギナーにもオススメ

    「誰にでも簡単に飼えます」という犬などいないが、さまざまな犬種のうち、比較的初心者にも飼いやすい、性格的にマイルドで素直で優しい犬。反抗心や攻撃心も低いので、事故も起きにくい。「飼いやすい」とはいえそれは犬種としての先天的な性質の話であって、飼育環境などから来る後天的なものなどについては考慮していないのでご注意いただきたい。

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  • 子供との同居△
    子供との同居△

    騒々しい子供のいる家庭だと、落ち着きのない犬になったり、子供が抱くのを失敗し、落下させて犬に骨折などのケガをさせたりする可能性あり。親に、子供の監督能力と、犬の安全管理能力があれば同居も可能。

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  • 自分でシャンプーOK
    自分でシャンプーOK

    自宅でシャンプー&ドライができる犬や、長毛種でも基本カットしなくてもいい犬など。ただし耳や足などの飾り毛や足の裏の毛のカット、肛門嚢しぼり、爪切り、耳掃除などはプロに一度習うとよい。

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  • ブラッシング毎日
    ブラッシング毎日

    もつれやすく毛玉ができやすい犬や、散歩のときに葉っぱやゴミを毛に絡ませてしまう犬は、毎日ブラシかコーム(櫛)をかけて、毛玉を防止し、汚れを落とすようにする。

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  • 抜け毛が多い
    抜け毛が多い

    無毛種でないかぎり、どの犬でも多かれ少なかれ毛は抜けるが、とくに掃除を頑張る必要がある犬種。ダブルコート(毛が二層ある被毛)の犬は、春・秋の換毛期の掃除はエンドレス。潔癖症にはオススメできない。

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  • 素直・従順
    素直・従順

    元来人間と共同作業をしていた犬種のため、人に素直に従うタイプ。人間にかまってもらうと嬉しく、トレーニングにも意欲的で、しつけも入りやすい。反面、依存心が高めなので分離不安(留守番が苦手)になりやすい傾向もある。

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  • デリケートな性格
    デリケートな性格

    犬種的に繊細な心を持ち、過敏なこともある。環境適応能力、順応性が低いため、旅行先で緊張して下痢したり、知らない人や犬に囲まれると心労が激しい。早期から社会化トレーニングに取りかかることが望まれる。

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  • 敏感(番犬OK)
    敏感(番犬OK)

    敏感なので、外の物音などにすぐ反応して、吠えて知らせてくれる。番犬やアラームドッグに最適。しかしマンションや住宅密集地など、吠え声が問題になる住環境の場合は要検討。

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  • 仕事大好き
    仕事大好き

    知的欲求・運動欲求の高い、仕事中毒な犬。無職な生活を強いられると、無駄吠え・咬み癖などの問題行動を起こしたり、神経症にすらなりかねない。知的な刺激&運動を存分に与えることができる飼い主限定。

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  • 小さいけど超活発
    小さいけど超活発

    小型でも爆発的な元気さがあり、運動量がたくさん必要な犬。近所を歩く程度の散歩では満足できず、無駄吠えやイタズラなどの問題行動を起こしがち。大型犬は飼えないが、長時間散歩やジョギングのお伴が欲しい人向き。

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  • 長距離歩き大好き
    長距離歩き大好き

    長時間全力疾走するタイプではないので、自転車引きなどの走る運動はさせなくてもよいが、持久力はあるので、長距離歩く運動は得意。自分の健康増進のためにも犬とたくさん歩きたいような、健脚な飼い主向き。

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  • 暑さに弱い
    暑さに弱い

    夏場の飛行機移動は断られるほど暑さに弱い短頭種や、長毛種、厚いダブルコートなどの犬種。冷房を、梅雨前〜秋まで24時間態勢でつけないと熱中症になる可能性があり、電気代がかかる。夏の朝散歩は5時や6時台がよい。

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シェットランド・シープドッグ
シェットランド・シープドッグ
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シェットランド・シープドッグ
シェットランド・シープドッグ

歴史

欧米はもちろん日本でもポピュラーな人気犬。「シェルティ」の愛称で呼ばれる。ラフ・コリーの小型版と言えば思い出しやすい。ただしラフ・コリーの血もたしかに犬種改良に使われているが、ラフ・コリーを単に矮小化した犬ではない。

シェットランド・シープドッグ
そもそもシェットランド諸島とは、イギリス・スコットランド本土から北東150kmほど離れた洋上に浮かぶ大小100ほどの島の集まり(その中で有人島は15程度)。大昔は氷河におおわれていたので、海岸線は複雑で険しく、海鳥のコロニー(集団営巣地)がたくさんある。
南に北海、北にノルウェー海、西に北大西洋が広がり、陸地とはどこからも遠い。東には、海を挟んでスカンジナビア半島のノルウェーがある。緯度的にはノルウェーの首都オスロと同じくらい。晴れた冬の夜には、ときどきオーロラが見られるような高緯度にある。
でも周囲の海流の影響で雪は少なく、1年を通して比較的穏やかな海洋性気候。冬は長いが割と穏やかで(1月の平均最低気温1度)、夏は短く涼しい(8月の平均最高気温14度)。でも風は年じゅうやたら強い。そんな独特な自然環境の中で、シェルティは独自の進化をしていった。

シェットランド諸島といえば有名なのが、シェットランド・ポニーという小さな馬。この島々には高い山はなく丘陵地が多いが、特殊な海岸線や断層などがあって地形は複雑。スコットランド本土のような、広大な牧草地や畑があるような土地ではなく、樹木もほとんどない。あっても庭木か、入り組んだ岩地の隙間に生えている低木程度。そうした環境のせいか家畜類も小型だし、かつ羊の群れの規模も小さかった。家畜をまとめる役としては、シェルティのサイズで十分だったのである。
地元での呼び名は「トゥニー・ドッグ」(「牧場の犬」「農家の犬」の意味)。牧羊犬の仕事のほか、牛を搾乳時に呼び戻しに行く役目なども任されていたという。また牧童のマスコット的存在でもあり、足元にちょろちょろとまとわりつくように一緒に歩き、仕事に出かけた。そのためどうかよくわからないが現代でも、特別な訓練をしていなくても、ノーリードでも飼い主のそばから離れない犬が多く、鉄砲玉になってどこか見えないところへ行ってしまうという話をほとんど聞かない。ありがたい習性だ。

この島々は、氷河の影響や孤立した立地条件ゆえ、島固有の陸生ほ乳類はネズミ類しかいない(海獣類はいる)。オオカミやキツネなどの畜産業のライバルになる動物はいないのだ。それに牧草地も群れも小規模である。
それでも「人間の暮らしあるところ、犬あり」。人間はこの孤立した諸島に紀元前から定住していたが、それに呼応するようにシェルティの歴史もきわめて古い。犬種スタンダードによると、スコットランドのボーダー・コリーの先祖犬にあたる犬と、北海のクジラ漁の船に乗っていたサモエドなどのスピッツ・タイプの犬のミックスに、さらにラフ・コリーの血が入ったという。そして、荒涼とした自然環境のこの島では動物も植物も通常の大きさにならないのが特徴なので、長い年月の間にシェルティは小型化したと推察されている。

19世紀になると、イギリス海軍が島に立ち寄り、水兵たちが家族へのお土産にこの可愛いらしい小さな犬を買い求めるようになった。どうやら「島の特産品」として好評だったらしい。文献によると「お土産としての商品価値を高めるべく、さらに美しく色鮮やかな毛色になるように、小型スパニエル、パピヨンポメラニアンなどとの交配も辞さなかった」とのこと。現代の科学でDNA検査をしたらどういう結果になるのか、興味が沸いてくる。

イギリスでは1909年に公認された。この頃は「シェットランド・コリー」と呼ばれていたが、ラフ・コリーのブリーダーが、自分たちの犬の小型種と混同されることを嫌がったため、「シェットランド・シープドッグ」と改名した。
当時は作業犬タイプとショータイプの2タイプがいて、大きさなども統一されていなかった。現在の犬種スタンダードで厳しい体高の基準があるのは、そうした歴史背景のためと思われる。

その後、美しい被毛と従順な性格のシェルティは、コンパニオン(伴侶犬)として、そしてショードッグとして世界でスター的な存在となる。日本でシェルティが増え始めたのは、1970〜80年代。「名犬ラッシー」のラフ・コリーの人気が高かった時代の少し後の頃だろうか。
大型犬のラフ・コリーを飼う住環境や体力がない家庭にとっても、シェルティはちょうどいい魅力を備えていた。日本人の好みにマッチしたコンパクトなボディと優しそうな外貌、そして本当に素直で優しく扱いやすい性格。大衆に愛される、良妻賢母型国民的アイドルと呼んでもいい愛らしい犬だ。

外見

シェットランド・シープドッグ
体高はオス37cm、メスは35.5cmが理想。オス・メスともに、33cm未満、上限40.5cmを超えるものはNG。近年日本で「ミニ・シェルティ」なるものがいると聞いたことがあるが、それは断じてシェルティではない。矮小化は、健康被害を生じる危険性があるので、安易に欲しがるのは不幸な犬を増やすことになる。ちなみにティーカップ・プードルや豆柴も同様で、犬種スタンダードには認められていない。

反対に、昔、改良のためにラフ・コリーの血を導入したためか、今でもときどき「シェルティにしてはずいぶん大きいな。小ぶりなメスのラフ・コリーかな」と首をひねりたくなる犬も見かける。ペットショップやホームセンターに卸されているパピーミルなどの繁殖業者ではなく、正しい血統管理をしている、シリアス・ホビー・ブリーダーから子犬を手に入れることが大事だ。

犬種スタンダードに体重規定はないが、おおむね9kg程度が標準サイズ。毛ぶきがいいので体重の割に大きめに見えるけれど、中味はウェルシュ・コーギー・ペンブロークよりも軽い。足はコーギーよりも長いが体重は軽いので、頑張れば抱っこも可能な小型犬の範疇だ。

耳は、前方に向けて先端が垂れ下がった半立ち耳。ただし休息しているときは、後ろに倒れていることが普通。
頭部は、耳から鼻にかけてゆるやかに細くなっている。スカルとマズルの長さは等しい。つまりラフ・コリーほど細長いマズルではなくて、シェルティの方が少し丸顔である。また横顔を比べると、シェルティには明らかにストップ(両目の間の、額とマズルの接続部のくぼみ)が見てとれるが、ラフ・コリーはストップがほとんどなくて、のっぺりとしていてマズルと額の境目がはっきりしていない。

骨格も、シェルティとラフ・コリーは似て非なるもの。シェルティの写真をそのまま拡大コピーしたら、ラフ・コリーにしては重々しく、粗野で野暮ったい感じになる。反対に、ラフ・コリーの写真を縮小コピーしたら、シェルティに比べてひ弱でか細い、不健全そうな姿になる。トイやミニチュア、スタンダードとサイズが分かれているプードルダックスフントは、拡大・縮小するとほとんど見分けがつかなくなるのだが、シェルティはラフ・コリーの単なるミニチュア版ではないのだ。やっぱりシェルティとラフ・コリーは違う犬種である。

また毛にも違いがある。
毛質自体は同じで、ともに上毛は真っ直ぐで粗い手触り。下毛は柔らかく密生したダブルコート。メーン(首の後ろと横にある、たてがみのような長くて豊富な毛)と、フリル(あごの下や前胸のエプロンのような飾り毛)が豊富なのも同じ。そして顔や、後ろ足のパスターン(中足。くるぶしより下、足先より上)の毛が短いのも同じ。

しかし毛色は、シェルティは5色あるが、ラフ・コリーは3色である。

共通の3色は、セーブル、トライ・カラー、ブルー・マール(マールとは、明るい地色に大理石模様のような同じ色調の暗色のぶちがある被毛色。ブルー・マールは、灰色の毛に黒いぶちが入り交じっている色)。

・セーブル:色は薄いゴールドから濃いマホガニーまで。セーブルは毛先に黒い毛が混じったものだが、シェルティの場合、クリアなものからシェードのあるものまでいろいろ。
・トライカラー:ボディはブラックで、濃いタン・マーキングがよい。
・ブルー・マール:きれいなシルバー・ブルーに、大理石のようにブラックが散らばっている色。ブルー・マールには頬にタンが入ることも多い。

さらにシェルティの場合は、それらの3色に加えて、あと2色多い。

・ブラック&ホワイト:白黒のボーダー・コリーのような色。
・ブラック&タン:ドーベルマンのような色。

またラフ・コリーの場合は、体表面積の半分以上が白でも問題なく、白地ベースに黒いぶちのようなボディ色でもスタンダード内であるが、シェルティはいかなる場合でもボディの白いぶちはNGだし、白地ベース色も認められていない。そういう点でも、シェルティとラフ・コリーは、スタンダードのルールが違う。

シェットランド・シープドッグ
さて、本犬種は豊かな長毛の犬だが、トリミング犬種ではなく、毛も一定の長さになるとそれ以上伸び続けるということはない。よって必ずトリマーに依頼しなくてはいけないという犬ではなく、自分でシャンプードライできる。それほど体臭が気になる犬ではないので、月に1回程度洗う程度でよい。でも毛量は多いので、ドライヤーには時間がかかる。

シャンプードライには時間がかかり手間なのと、少し毛をこぎれいに揃えたり、爪切り、肛門嚢絞りなどをしてもらうなどために、トリミングサロンに定期的にお願いしている家庭もある。ただ、体重10kg近くあるダブルコートの犬なので中型犬扱いされることが多く、それなりにトリミング代は高額。都内だとシャンプードライで約8000円、シャンプーカットドライで約1万2000円くらい。普段は自宅でケアをして、お正月や誕生日のタイミングのときに、プロに頼んでおめかしする犬も見かける。

日々の手入れは、できれば毎日ブラッシングをして、シェルティのふわふわの愛らしさをキープするのがファンシャーの務め。上毛は粗く真っ直ぐなので毛玉にはほとんどならないし、汚れもつきにくいが、耳のうしろの絹のように柔らかい毛や、胸、腹、腰、後ろ足は毛玉ができやすい部分なので、櫛でよくとかしてあげる。
この本来愛らしい長毛種の犬が、生活に疲れたような薄汚れた姿で飼育されているのを見るのはやはり忍びない。散歩から帰ったら、サッと毎日ブラッシングとコーミングすることを習慣にするとよい。

また4〜6月は、冬用の被毛が抜け替わる時期なので、抜け毛も増える。換毛期はとくに気合いを入れてブラッシングをしよう。

毛色


なりやすい病気

遺伝性
  • 遺伝性てんかん症
  • レッグペルテス症
  • 動脈管開存症
  • フォン・ウィルブランド病
  • カラーミュータント脱毛症
  • 停留睾丸
  • MDR-1遺伝子変異
先天性
  • 若年性腎疾患
その他
  • とくになし

魅力的なところ

  • 素直で優しい、優良コンパニオン。吠え声の件を除けば、初心者にも扱いやすい。
  • 古きよき大和撫子のように飼い主の一歩うしろに従順についてくるタイプ。
  • 引っ張り癖も少ないし、逃亡癖も聞かない。
  • トイレのしつけも早く覚えて、粗相の少ない犬が多い。
  • 牧羊犬らしくよく遊び、よく考える。トレーニング性能もよく、ドッグスポーツも楽しめる。
  • サイズは小型だが、ほどよい体力があるので、中高年のお散歩のお伴に最適。
  • 反抗心がほとんどなく、マイルドな性格で、優しい女性飼い主に向いている。
  • 分別のついた小学生高学年以上の子供の、よき遊び相手になってくれる。
  • 優しい性格そのままの、優しそうな外貌。
  • 小さすぎず大きすぎない、扱いやすいサイズと落ち着き。
  • あの顔で、立派な番犬になれる。警戒吠えは得意。

大変なところ

  • 繊細でシャイなため、外部の音などに敏感に反応し、よく吠える。
  • お喋りな傾向があり、頭もいいので、吠えて要求する癖がつくと、うるさい。
  • 吠え声が問題となる集合住宅や住宅密集地ではご近所トラブルになる可能性あり。
  • 神経質かつ臆病な性格を強化しないように、子犬の頃から社会化トレーニングは必須。
  • 繊細なので強制訓練は向かない。厳しい飼い主はNG。
  • 優しい年配の飼い主にもOKだが、優しすぎると吠えて要求するようになる可能性あり。
  • 騒々しい幼児や小学生低学年の子供は苦手。恐怖心からパクッと咬む怖れもあるので、犬の扱い方の分からぬ子供のいる家庭は遠慮したほうがいい。
  • いくら小型犬でも牧羊犬種。散歩が面倒な飼い主の相棒には向いていない。
  • 長毛犬種なので毎日のブラシができる人希望。
  • 運動量が足りないと肥満になりやすく、老犬になると前肢の関節炎を起こしやすい。運動管理・体重管理ができる人がよい。
  • 特殊な遺伝性疾患があり、薬品の使用が制限されることがある。
  • 遺伝子検査を行っている優秀なブリーダーを探す努力が必要。

まとめ

日本の奥様にちょうどいいサイズと運動量と従順な性格

従順で素直。反抗心や攻撃心が乏しく、ビギナーにも飼いやすい数少ない犬種。また10kg未満の手頃なサイズで、トイプードルやパピヨンほど華奢ではないので骨折などの心配も少ないし、ちょこまかせわしく動かないし、引っ張られて転倒させられるような力持ちでもない。

シェットランド・シープドッグ
牧羊犬出身なので散歩は大好きだが、ボーダー・コリーほど爆発的な運動量を欲しないので、適度な運動で大丈夫。牧羊犬らしく頭の回転も速いし、トレーニングを楽しんで覚えていくやる気もあるから、家庭内のルールを覚えるのは上手。さらにコーギーのように気が強いわけでもないので、お散歩の往来でほかの犬に喧嘩を売ったり、飼い主に逆ギレするようなこともない。総じて、飼いやすい、扱いやすい犬である。

「吠えなければ、いい犬なのに」と言われてしまうことがある。集合住宅飼育は注意

上記のとおり優秀なコンパニオンとなる素質の高い犬で、だからこそ欧米でも日本でも家庭犬として安定した人気があるのだが、欠点をあげるとすれば「吠えやすいこと」と「繊細すぎること」。
まず「吠えやすい」理由だが、基本的にハーディング(牧羊)犬種というものは、吠えて羊を誘導したり、泥棒が来たときや家畜に何か異常事態が起きたようなときには牧童に吠えて知らせる犬だ。だから興奮するとよく吠えるし、また敏感に外部の異変を察知してよく吠える。牧羊犬にとって「吠える」のは仕事だったのである。
しかもシェルティは「お喋りさん」が多い。散歩中、嬉しくてしょうがない(=興奮)らしく、ずっとお喋りするように鳴きながら歩いている犬を見たことがあるし、公園で「ボールをすぐ投げて」と飼い主に要求して鳴きまくっている子も見たことがある。それが「可愛いな」「やる気満々だな」と思える人にとっては、この行動は微笑ましいものであるが、鳴かれて困る人や環境だったら問題行動ということになる。

シェットランド・シープドッグ
そのうえ牧羊犬種というのは総じて頭がいい。吠えて要求して、飼い主さんが願いを叶えてくれたと1回経験すると、すぐ学習する。たとえば「吠えて要求してみたら、散歩に連れ出してくれた」とか「おなかがすいたと鳴いてみたら、おやつをくれた」など。
飼い主にとっては、その無駄吠えをやめてもらうための交換条件の取引のつもり、あるいは口封じのつもりでも、犬はまったくそうは思わない。「吠える」→「要求が通って、ハッピーなことが起きる」と学習してしまうのである。これは牧羊犬種に限らず、どの犬でも同じであるが、頭のいい犬ほど学習が速いし、暗記力も優れているし、要求が多かったりする。

頭が良く、素直で従順なのでトレーニングしやすい犬ではあるが、吠え声が近所トラブルになりやすそうな住環境に住んでいる人は、シェルティを飼う前にそれでもこの犬がいいのか、いざというときでも守りきれるのか、よく考えた方がいい。
もちろん物静かな落ち着いたシェルティもいるし、すべてのシェルティがお喋り犬になるかどうかは分からない。でも、お喋りになる可能性は高いと覚悟しておくことは大事だ。

逆に「少々吠えてもかまわない」という住環境の家庭なら、初めて犬を飼うという人でも飼育しやすい犬といっていいと思う。

繊細な犬。強制的なしつけをしたい人、気の短い人、騒々しい家庭はご遠慮を

「吠えやすいこと」に加えて、もう1つの欠点である「繊細すぎること」にも注意が必要。神経質で臆病な面があるので、ぶったり、怒鳴ったりする教え方だと萎縮してしまい、よけいに臆病な犬になりやすく、また犬はおろおろするばかりで何を改善していいのか理解できない。誉めて教えていくトレーニング法で教えていくことが、シェルティの正しい教育方法である。

また普段から気が短く、怒りっぽい飼い主や、元気いっぱいでキャーキャー騒いだり、激しく兄弟喧嘩するような幼児や小学生低学年の子供がいる家庭でも、シェルティの心はつぶれそうになる。ストレスがかかりすぎて、吠える傾向がますます強まることもある。
また子供に対する恐怖心から、怖さのあまり咬んでしまうという事故もある。決して犬は攻撃したいわけではなくその場を逃げたい一心であり犬のせいではないのだが、咬傷事故というのは家庭内では是が非でも避けたい大問題。最初からそういう家庭は、シェルティを迎えないほうがお互いのためである。

シェルティは反抗心が低いので、優しい女性飼い主と相性がいいという。また引っ張り癖がほぼないので、健脚な年配者の散歩のお伴にも最適。
ただ見た目の優しそうな小型犬とはいえ、牧羊犬出身だから散歩量が少なすぎるのは問題。運動不足や知的好奇心が満たされない日々はこれまた無駄吠えといった別の行動に転化する可能性があるので、散歩に行く時間がたっぷりとれない人、体力がない人にはオススメできない。

本来は、子供の相手ができる犬である。遊び好きで優しく従順な犬なので、犬の扱い方が分かってくるであろう小学生高学年以上なら、一緒に暮らしても大丈夫だろう。子供の良き遊び相手、良き相談相手になってくれる。それくらいの子供であれば毎日の散歩をさせることも可能だし、手頃なサイズとパワーだといえる。
ただその際も、しっかり親が監視をして、子供と犬の安全の徹底と、お互いの関係が良い状態にあるかをチェックすることは必要だ。

早期の社会化トレーニングに取り組むことも大切

デリケートで臆病な性質があるので、そのマイナス面を助長しないように、子犬のときから社会化トレーニングに取りかかることが欠かせない。家族以外のいろいろな人になでてもらったり、おやつをもらったり、クルマや電車を見たり、サイレンや踏切の音を聞いたり……。
いろいろな社会学習をすることによって心のキャパシティが広がってくる。無理強いは逆効果になるので、犬がびびらない程度にゆっくりのんびり楽しい体験を積ませてあげよう。そうすることにより、神経過敏やシャイな犬にならないように導くことができる。

また社会化トレーニングは、子犬期だけのものではない。「子犬のときにトレーニングしたから大丈夫」というものではなく、一生続けていくものである。シェルティの心が強く、いつも安定するように日々練習すると、犬も飼い主もお出かけしやすくなり、お互いにハッピーな生活を送れるようになる。

フィラリア予防薬などに使われるイベルメクチンに重篤な副作用を起こす遺伝性の体質あり

シェルティを始め、ラフ・コリー、オーストラリアン・シェパード、ホワイト・スイス・シェパードなどで、本来あるべき「MDR-1」という遺伝子が欠如しているために、特定の薬物に対して副作用を起こしてしまうことが分かっている。副作用は、筋力の低下や麻痺、うろつき、嘔吐、痙攣、昏睡、死亡など。

その「特定の薬物」として挙げられるのが、イベルメクチン(フィラリア薬などの駆虫薬)、ドラメクチン(駆虫薬)、ロペラミド(下痢止め薬)など一般によく聞く薬のほか、抗がん剤、抗生物質、抗菌薬、制吐剤、抗不整脈薬、抗ヒスタミン剤、ステロイド系抗炎症薬に含まれている成分などで、多岐にわたる。獣医師がちゃんと分かってくれていればいいが、万が一うっかり薬を出されてしまい、それを飲ませると、大変な副作用が起きる可能性もある。

この「MDR-1」遺伝子の欠如は、遺伝によって引き継がれてしまうので、まずそうした子犬を生ませないように、ブリーダーはよく勉強し、繁殖前に両親犬やおじいちゃん犬・おばあちゃん犬の検査をすることが不可欠。ちゃんとそうした取り組みをしている正しいシリアス・ブリーダーから子犬を譲ってもらえば、リスクをだいぶ減らすことができる。
反対に、親犬がどこにいるのかも分からないペットショップや移動販売、インターネット通販などで子犬を買うことは、とてもリスクが高い。

シェルティの場合、遺伝子の変異率が30%との報告がある(ドイツ・ギーセン大学,2011年)。単純計算で3頭に1頭の遺伝子が変異していることになり、すなわち3頭に1頭が副作用で死ぬかもしれないという確率だ。かなりの罹患率である。

恐ろしく心配な話しではあるが、昨今の獣医学の進歩により「MDR-1遺伝子検査」で調べることが可能である。かかりつけの獣医さんのところでこの検査をしてもらい、自分の愛犬の遺伝子の状態を検査しておくと安心だ。検査に対応してくれない病院もあるかもしれないが、そのときはセカンド・オピニオン的に別の病院に頼めばいい。命にかかわる大事なことだし、検査は一生に1回でいい。
もしも「MDR-1」遺伝子が欠如していると判明した場合は、それ以降に動物病院にかかるたびにきちんと獣医師に伝えると、副作用の事故を予防することができる。知識として、自分の愛犬に使用してはいけない薬物についてリストアップしておくのもよいだろう。

このページ情報は,2014/11/08時点のものです。

本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。

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