パッケージをよーく見ると分かるが、実はこれ、愛犬の写真と名前が印刷されている。それぞれの犬専用に提案されたフードだし、このちょっとした配慮はかなり嬉しい。手間だってコストだってかかるだろうに!(写真はインターペット2017の展示より) |
ドッグフードというものは、当たり前だがそのほとんどすべてが「プレタポルテ」だ。メーカーが決めたさまざまな要因ーー例えば犬種別だったり、パピー向けだったり、心臓疾患を抱えていたり、ダイエット用だったりアレルギー対応だったりーーに則って配合された原材料で、より多くの個体にとって価値と意味がでるように作られている。
「個々の状態に合わせる」ことを推し進めると手作り食しかないのだが、犬用のご飯を真面目に手作りしようとすると、意外に大変であることに気がつく。むろん肉だけ食べていればいいわけではないし、野菜にしても与え方はあるし、塩分をゼロにすればいいというものではない。ミネラルなどまでキチンと考えると不足しがちな栄養素は意外に多く、たまに目先を変えてイベント的にあげるならよいが、軽々しい気持ちで毎日食べさせていいものではないと思う。
既成のドッグフードはなんか味気ないし、そもそも自分の愛犬に合ってるものなのかどうか分からないし、どれを選べばいいのかもよく分からないし、あとやっぱり品質がちょっと心配。とはいえ手作り食はちょっと大変そうだしその時間を毎日2回作るのは難しいし……という人にとって確固たる選択肢になりうるのが、この「レオ&レア」(Leo&Lea)だ。
レオ&レア公式サイト
カルテの作成(サンプル申し込み)
例えばロイヤルカナンやヒルズ・コルゲートの公式サイトを見れば分かるが、それはもう、山ほどの種類のドッグフードが製品ラインナップとして用意されている。これらのラインナップに当てはまらない犬はいないんじゃないかというくらいの数で、そりゃこれだけあったらショップには置ききれないわけだ(そもそもどれを選んでいいのかもちょっと分かりづらいけど)。
レオ&レアは、そういうアプローチは取らない(そもそもこの力技は、巨大な会社じゃないと出来ない手法だが)。ではどうするのかというと「それぞれの犬に適したフードを提案してくれる」のだ。ここが、この製品の最大の特徴だ。
フードの内容を決めるためのデータを「カルテ」と呼んでいるが、あなたがカルテに入れるデータは
・犬種
・性別(避妊/去勢含む)
・体形(3択)
・体重
・年齢(or 生年月日)
・食欲(3択)
・1日あたりの運動量(3択)
・生活環境(室内/屋外)
・おやつの量(3択)
・コンディション(元気/関節トラブルなど選択式)
の10項目。ほとんどすべてが選択式で厳密な数値を求められたりはしないので、2分もあればすべて終わるだろう。・性別(避妊/去勢含む)
・体形(3択)
・体重
・年齢(or 生年月日)
・食欲(3択)
・1日あたりの運動量(3択)
・生活環境(室内/屋外)
・おやつの量(3択)
・コンディション(元気/関節トラブルなど選択式)
項目のうち「犬種」については、およそ日本で見かける犬であればほとんど入っているように見受けられる。JKCに毎年登録される犬種は大体130〜140種くらいだが、そのうち20〜30種は1、2頭しか登録されていないので、実質国内の登録犬種数は100種ちょっとだろうか。レオ&レアのカルテ作成画面で数えてみたら79犬種がリストにあったので、現実的にはほとんどすべての犬種が書かれていると思って問題はなさそうだ(ミックスがないが、これはまぁ仕方のないことだろう)。
入力を終えて、アカウント作成用のメールアドレスを入力すると、あなたの愛犬に必要な栄養価が算出されて、状況を鑑みたフードを専用品として提案してくれるという次第だ。もちろん全部国内産の原材料で、国内生産。
インターペット2017では大々的なブースで出展。写真を見れば分かるように、ひっきりなしに来場者が質問を浴びせていたのが印象的(たいがいフードのブースは、サンプルをもらったら帰ってしまうのだ) |
しかしもちろんこれ、毎回毎回レシピをゼロから作って工場で原材料を配合してエクストルーダーで作っている……わけではない。そんなことをしていたら、いったい1袋がいくらになってしまうのか!
まずベースとなる、年齢別のレシピがあって、それがおおもとになる。そこに、犬種別や体重状態などを加味した派生版が作られて、そのうえに、例えば「太りやすい犬用」「運動量の多い犬用」「涙やけに困っている犬用」「毛艶に難のある犬用」……のような用途別レシピを追加していく。この用途別レシピをいくつも持っていて、それを組み合わせることによって個々の犬の状態に対応できるようになっているわけだ。
もしかしたら過度な期待をかけた人だと「なんだぁ、組み合わせか……」と思うかもしれないが、この手法には大いなるメリットがある。「用途別レシピ」を新たに開発して追加していくことで、いくらでも対応範囲を広げられるのだ。事実、この原稿の画面写真を撮った2017年5月25日時点でも、カルテ作成画面には「皮膚トラブル」「消化トラブル」の選択肢が用意されていて、すぐにでも選択できるようになりそうな雰囲気を醸し出している。
順次増やしていきたいとのことなので、「骨折直後のリハビリ用」とか「慢性腸炎に悩む犬用」とか、療法食ではサポートしきれない部分をまかなうフードとして、今後にとても期待できる。
そしてあまり目立たないが、このフードの割と大きな特徴が、タンパク質源として牛肉(ビーフ)を使っていること。チキンや魚(白身魚/サーモン)、ベニソン(鹿)やターキーなどは割とよくみかけるタンパク質源だが、実はビーフを使っているフードは、そう多くない。
株式会社ワントモ(フードの販売元だ)にその旨聞いてみたところ
国内の原材料でクオリティと量が担保できるものが牛肉であるためです
という返答が返ってきた。パッケージの拡大写真も載せておこう。提出した写真が真ん中に印刷され、名前まで書いてくれるという、「買いたい欲」をくすぐる仕様 |
残るは魚と牛だが、入手安定性やトレーサビリティ、価格などを考慮して最終的にビーフに決まったのだろう。ビーフを使ったフードはそう多くないので、愛犬にとっても新しい“味”だろうし、食いつきがいいかもしれないという副次的効果も期待できる。
星の数ほどあるフードの中からどれを選ぶのかというのは、飼い主にとって常に悩ましい問題なわけだが、この「レオ&レア」は、そこに「選ばない(提案してもらう)」という選択肢を提示してくれる新たなドッグフードだ。いままでにもこういうコンセプトの製品はあったが、犬の状態を鑑みたレシピを作ってくれるのは、おそらくこれだけ。作り手のエゴをむきだしにした「おお、そんなものが!」という原材料は使われていないが、出来上がったものは
バランスが取れてシンプルで、かつ良質なもの
を目指しているという。
いまなら無料サンプル(800g)がもらえるので、カルテを作ってぜひ一度試してみよう。
ところでこのフード、それぞれの犬用に新たに作るわけなので、さすがに1個単位では買えず、最低4袋からのスタートになる……と原稿執筆時点では書いていたのだが、なんと「1袋800gから購入できる」ようになるらしい。これは朗報だ。
1袋800gで4袋だと3.2kg。チワワとかだとなかなか減らないが、ダックスフントや(筆者の家にいる)イタリアン・グレーハウンドなど「それなりのサイズの小型犬」であれば、まぁ3kgくらいはさほどの量ではない。とはいえフードを意図的にローテーションしている人や、前述のチワワなどだと、3kgあると結構キツい。興味はあるけどちょっと買えないな……という飼い主の声に応えて、800g単位で買えるようになるらしい。
800gという単位はホントに「お試し」で買えるレベル。気になったらカルテを作って(ホントにほんの2分ほどだ)、ぜひ一度試してみよう。