
ニンニクの独特の匂いは、硫黄を含むアミノ酸のアリインが、ニンニク自身が持つ酵素の作用によってアリシンに変えられることによる。アリインは、植物自身を害虫や病原菌から身を守るための自己防護物質の一つで、酵素により発生するアリシンには抗菌作用があるほか、アリシンが分解し作られるアホエン(Ajoen)には抗血液凝固作用がある。1) また血中コレステロール量を下げたり、大腸がんを予防する効果などが報告されている。ニンニクは微量元素のセレンを豊富に含む食材の一つに数えられる。
ニンニクに含まれる酵素によって生じるアリシンは、その後ジアリルジスルフィドやジアリルトリスルフィドといった物質に変わり、これらは犬の体内で赤血球を壊してしまう(溶血)。中毒になる量は、体重1kgあたり5g(体重10kgで50g=約6かけ)とされ、その中毒症状には貧血のほか、下痢や嘔吐、体力喪失、心拍数・呼吸数の増加、黄疸、ヘモグロビン尿などがある。2)
毎日与えるならば1頭あたり4g以下が適量であるとされ、また犬がニンニクを摂取することでダニ除けの効果がある。3)
1) M.K. Jain, C. Scanzello, R.Apitz-Castro: Wirkung des Knoblauchs - Wahrheit und Dichtung, Chemie in unserer Zeit, 22. Jahrg. 1988, Nr. 6, S. 193-200.
2) Lee et al: Hematologic changes associated with the appearance of eccentrocytes after intragastric administration of garlic extract to dogs,
American Journal of Veterinary Research, November 2000, Vol. 61, No. 11, 1446-1450.
3) J. Cabaret: 167 Plantes pour soigner les animaux - phytothérapie vétérinaire, Ed. du Point Maison-Alfort, 1986.