バシルス(Bacillus)は棒状をした乳酸菌バシルス属の総称で、整腸に働くプロバイオティックとしてよく用いられる。バシルス属には現在200を超える種が確認されており、その中でも枯草菌とも呼ばれるバシルス・サブティリス(Bacillus subtilis)は、自然界では枯れ草や土表面に存在し死んだ動植物の分解役を担っている。バシルス・サブティリスはブドウ糖を中心とした糖類をエネルギー源として代謝し、ビタミンB12と抗生物質バシトラシンを生成するほか、多糖類やタンパク質を分解する酵素も作り出す。独特の風味を持った納豆はバシルスを用いた日本での代表的な食品で、納豆を作り出す納豆菌(学名Bacillus subtilis natto)はこのバシルス・サブティリスの亜種である。納豆菌はその代謝活動である発酵を通して納豆特有の粘り物質を作り出すほか、旨味成分のグルタミン酸やビタミン類(B群、K2)を多く生成する。
本来土壌に存在するバシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)は、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を生成し、この酵素は高温下でも機能を発揮するため洗濯洗剤や工業目的に多く利用されている。


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