L-チロシン

チロシン（Thyrosin、略号：TyrまたはY、化学式：C₉H₁₁NO₃）とは、アミノ酸の一種。タンパク質を構成するアミノ酸の1つで、D-とL-という、構造が鏡写しになった2つの異性体のうち、L型のみが体内で有効に活用される。工業的には、ケラチンを含む屠畜副産物を加水分解した混合液から、水への溶解度の低いチロシンとシステインがそれぞれ分離されて得られる。食材では、牛乳（乳タンパクのカゼインからチロシンは初めて発見された）を始め、卵や肉など動物性食材のタンパク質に含まれるが、米など植物性のタンパク質にもほどほどに含まれている。

体内では、フェニルアラニンから変換されてチロシンになる。チロシンはまた、甲状腺ホルモン（チロキシン）とカテコールアミン（アドレナリン、ノルアドレナリン）、神経伝達物質（ドーパミン）、皮膚色素メラニンなどに変換される物質（前駆物質）で、心身のバランスを保つために大事なアミノ酸とも言える。

また黒い毛色では、犬の本来の黒色の被毛を保つのにもチロシンは必要で、赤茶けた色を示す黒毛は、チロシンが黒色色素のユーメラニンに変換されると改善され、本来の黒い毛に戻る。