ドッグフードと犬種図鑑 - dogplus.me
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図鑑

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア

純白をまとった可憐なお姿の、
勝ち気で生意気なとこがたまらぬ最強のお姫様

テリアチーム
テリアチーム

基本的には小型で、明朗活発、チャーミングな性格で、家庭犬として不動の人気。でも元はネズミ殺しの達人。強気で抜け目なく、大きな犬相手でもひるまない。抱っこ犬になるつもりは全然ない、心根がすごく逞しい犬。

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小型愛玩犬チーム
小型愛玩犬チーム

日本で最も人気があり、登録頭数が圧倒的に多い。抱っこできるサイズ、ぬいぐるみのように愛らしい姿が人気の理由。しかし、小さくても犬は犬。可愛さだけが能ではない。小さな体にいろいろな可能性を秘めている。

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英名
West Highland White Terrier
原産国名
West Highland White Terrier
FCIグルーピング
3G テリア
3G テリア

テリア犬種だけで1グループを構成します。穴の中に住むキツネなどの、小型獣用の猟犬です。

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FCI-No.
85
サイズ
シルエット
シルエットについて

身長160cmの人と、FCI犬種スタンダードに掲載されている体高(最高値)のオス犬を表示しました。体高の記載のない犬種は、体重等からみたバランスのよいサイズにしています。ただ同じ犬種でも、体重、性、毛量などにより個体差があります。

原産国
特徴
  • 小型犬
    小型犬

    体重5〜10kgくらいの犬。キャリーバッグなどに入れると思ったより重たいが、公共交通機関での移動は可能。マンション住まいで、廊下やエレベーターといった共有部分での抱っこもできる。

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  • 粗毛種
    粗毛種

    ワイヤーヘア(針金状の硬い被毛)やラフヘア(粗梳毛)ともいわれ、テリアの仲間に多い毛質。通常トリミング費用がかかる。「ストリッピング」や「プラッキング」といった、特殊なトリミング技術が必要な犬もいる。

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  • ビギナーには手強い
    ビギナーには手強い

    どの犬でも飼育するのは気合いと覚悟が必要だが、その中でも、性質面、運動欲求面などで初心者には飼育管理が難しい犬種。熟練した経験や相当の覚悟が必要。それだけ育てる醍醐味のある玄人好みの犬。

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  • 抱っこ移動OK
    抱っこ移動OK

    抱っこして移動できるサイズ。けっこう重くても、頑張ればなんとかなる犬種も含む。キャリーバッグなどに入れて公共交通機関で移動も可能。マンションの廊下やエレベーターなどの共有部分でも迷惑をかけない。

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  • 子供との同居×
    子供との同居×

    子供にぬいぐるみ感覚で扱われることに我慢ならないタイプや、子供に対して寛容ではないため咬む問題を起こしやすいタイプなど。犬と子供の双方が幸せになれない組み合わせ。

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  • 高齢者との同居要検討
    高齢者との同居要検討

    小型犬・中型犬だからといって、高齢者の手に負えるかどうかは分からない。小さくてもハイパワーだったり、すばしこいタイプはオススメできない。とかく勘違いされて選ばれやすい犬種なので要注意。

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  • トリミング犬種
    トリミング犬種

    プードルやテリアの仲間のように、プロのトリマーにトリミングをお願いしないといけない犬種。ほぼ月に1回トリミング代が必要で、人間の美容院代より高価なこともある。

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  • ブラッシング毎日
    ブラッシング毎日

    もつれやすく毛玉ができやすい犬や、散歩のときに葉っぱやゴミを毛に絡ませてしまう犬は、毎日ブラシかコーム(櫛)をかけて、毛玉を防止し、汚れを落とすようにする。

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  • 頑固・独立心強い
    頑固・独立心強い

    人間の指示で動いていた犬ではないため、そう簡単に人間の都合に合わせてくれないタイプ。決して馬鹿なわけではなく、自分の判断や本能を優先しているだけ。その犬種に合わせたトレーニング技術や忍耐力が飼い主に必要。

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  • おおらかな性格
    おおらかな性格

    犬種的に朗らか、おおらかなタイプ。環境適応能力や順応性が高いため、新しい環境や人にもたいして動じない。社会化トレーニングも順調に進みやすく、飼いやすいタイプ。ただし個体差、血統差はある。

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  • 敏感(番犬OK)
    敏感(番犬OK)

    敏感なので、外の物音などにすぐ反応して、吠えて知らせてくれる。番犬やアラームドッグに最適。しかしマンションや住宅密集地など、吠え声が問題になる住環境の場合は要検討。

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  • 遊び・イタズラ大好き
    遊び・イタズラ大好き

    好奇心旺盛で知的探求心が強く、すなわち賢い犬。でも頭を使う楽しみが満たされないと、ゴミ箱をひっくり返したり、物をかじったりなどの悪さをする。イタズラは好奇心の裏返し。脳を刺激する遊びを与えることが大事。

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  • 小さいけど超活発
    小さいけど超活発

    小型でも爆発的な元気さがあり、運動量がたくさん必要な犬。近所を歩く程度の散歩では満足できず、無駄吠えやイタズラなどの問題行動を起こしがち。大型犬は飼えないが、長時間散歩やジョギングのお伴が欲しい人向き。

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  • すばしこい
    すばしこい

    機敏で、小回りがよく利く。活発な小型犬だと体高も低いため、捕まえるのが意外と困難。高齢者など速い動きに対応できない人は、なかなか捕まえることができず、リードをつなげるのもひと苦労。俊敏な飼い主向き。

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ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
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ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア

歴史

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
真っ白(ホワイト)で愛らしい印象を持つテリアで、日本人だけでなく、多くの人が「可愛い!」と惚れ込んでしまう容姿。しかしざっくり言うと、本犬種はスコットランドの古いテリアであるケアーン・テリアの色違いのバージョンである。見た目は可憐で清楚に見える白い犬だが、中味は大胆で勝ち気で興奮の強い、ネズミ、ウサギ、アナグマ、キツネなどをやっつける仕事をするワーキング・テリアなのだ。

元来「ハイランダー」、または「ウエスト・ハイランダー」として知られ、20世紀初頭にショードッグとして人気が高まり、現在の名前「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」に落ち着いた。その呼び名が長いので、今では「ウエスティ」と愛称で呼ばれることも多い。

昔から、ケアーン・テリアなどの土地のテリアが赤ちゃんを産むと、ときどき白いテリアが生まれたという。しかし白い犬は虚弱で臆病と信じられていたため、産まれてすぐに淘汰されることが常だった。しかし白いテリアが犬種として存続し、改良されたのは、ある不幸な事件が起きたからと文献にある。
スコットランドのハイランド地方出身のマルコム大佐という人がいた。彼はあるとき、いつものようにケアーン・テリアタイプの、こげ茶色のテリアを数頭連れて狩りに出かけた。そこへキツネが現れたと思い、銃の引き金を引いたところ、獲物だと思って撃ってしまったのが自分のお気に入りのテリアだった。そこで大佐は二度とこんな悲劇を起こすまいと、キツネと見間違うことのない白いテリアを作り出すことを誓ったのだそうだ。なんとも胸の詰まる逸話である。
大佐は白いテリアを何世代も繰り返し繁殖し、固定させた。こうして新しくできた白いテリアを、よく狩りに出かけていたアーガイルシャーの私有地の名前をとって「ボルタロック」(ボルタロッホという文献もあり)と名付けた。

当時これに似た白いテリアがほかでも繁殖されており、その中に「ローズニース」と呼ばれる白い犬もいた。その犬が先にドッグショーに出陳し、1899年のショーでは「ローズニース」の犬種名で参加するほどになっていた。ところが「ボルタロック」「ローズニース」は非常に外観が似通っていたために混同されるようになり、結局このような白いテリアをすべて「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」と呼ぶこととなった。

「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」としての初めてのドッグショー参加は、1904年のエジンバラでのショー。その後、1907年のクラフト展に初出場したときに、KC(イギリスのケネル・クラブ)に純血種として公認された。

これを機にウエスティはショードッグとして脚光を浴び、20世紀末にはテリア種の中でも人気上位の犬となった。やはり日本人だけではなく、世界の人も、白くて可憐な犬はお好みのようである。しかしご多分に漏れず商業主義の流行犬種となってしまったために、ヨーロッパでもウエスティは乱交配が進み、外観も性質も犬種スタンダードから大きく逸脱した不良犬が巷に氾濫してしまったという。繁殖管理団体はあるはずの欧米でこのような状況なので、日本ではそれ以上に信用のおけるブリーダー探しをすることが不可欠な犬種である。

日本でも、ペットショップでよく陳列されている犬種ではある。白くて小さなテリアの子犬は、本当にぬいぐるみのように愛らしい。しかし中味は剛健で向こう見ずで鼻っ柱の強い、最強のワーキング・テリア。羊の革をかぶったニキータ(映画「ニキータ」。美しい暗殺者)だと思って迎えてほしい犬だ。

ちなみに、スコッチ・ウィスキーのブランドのひとつ「ブラック&ホワイト」のラベルの犬の、黒い方はスコティッシュ・テリア、白い方はウエスティである。ラベルをよく見ると、黒い方はスコッティらしい四角い顔であごひげがあり、白い方はウエスティらしい丸い顔をしている。ウィスキーのラベルに抜擢されるなんて、いかにこの犬たちが地元で愛され、誇りに思われているかが分かる。

外見

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
本犬種を始め、ケアーン・テリア、ダンディー・ディンモント・テリア、スコティッシュ・テリア、スカイ・テリアといった、イギリスの中でもスコットランド原産のテリアは、体高が低く、頭が大きめ(毛でそう見えるとも言う)、足も短めで、小型犬ながら力強い体型をしている。
その中でもダンディー・ディンモント・テリアはもっと胴長短足の体型で、一瞬ダックスフントと関係があるのかと想像したくもなるが、性質を見ると頑固で独立心が高く、テリア以外の何者でもない。そのダンディー・ディンモント・テリアは、スコットランドの中でもイングランドの境界に近いエリアで発達した犬だが、そのほかのケアーン、スコィテッシュ、スカイ、そしてウエスティは、スコットランドの北部のハイランド地方と言われる山の多いエリア出身。荒涼とした自然環境に適した、粗野で頑健な体の者が生き残ってきたのかもしれない。

ウエスティの体高は約28cm。体高だけでいうと、パピヨンの犬種スタンダードが体高28cm以下とあるので同程度だ。でもウエスティはパピヨンに比べてはるかにがっちりとしていて骨太で逞しい。ウエスティの体重は犬種スタンダードに明記されていないが、約7〜8kg程度。体重でいうと、パピヨンの2倍近くある。足は短いけれど、逞しく太めのボディと、四肢の筋肉が発達した頑丈な体をしているわけだ。抱っこして集合住宅の廊下を移動したり、キャリーバッグに入れて動物病院に行ったり、新幹線に乗って帰省するのは、頑張ればできなくもないが、ぎりぎりのサイズである。

毛質はダブルコート。テリアだが、春と秋の換毛期があるらしい。柔らかいアンダーコート(下毛)があるので、多少は抜け毛がある。「テリアだから毛は抜けません」とペットショップで言われることがあるが、部屋の抜け毛掃除がゼロになるわけではない。また白い毛は、人間の黒い洋服にひっつくと目立つので、コロコロ式粘着テープは欠かせない。
下毛が豊富ということは、耐寒性はある犬と思ってよいだろう(スコットランドの高地出身の犬なのでそれもそうだ)。ということは、老犬や持病もない元気なウエスティに、冬だからと過保護に犬服を着せる必要性は感じられない。むしろ暑すぎにならないように注意したい。
オーバーコート(上毛)は粗く硬く、長さは約5cm。まったくカールはしていない。

ショー用の犬は「ウエスティ・カット」といって、丸い顔にカットし、硬い被毛を保つため、死毛をストリッピングのように人の手で抜き取っていくテリア独特のトリミング技術を行う。これは、近所のトリミング・サロンでは受け付けてくれないことも多い。子犬を譲り受けたブリーダーに、上手なお勧めのサロンを教えてもらうとよい。
ペットであれば、毛は柔らかくなってしまうがバリカンやハサミでカットすることがほとんどで、シャンプー&カットで都内では8000〜1万円くらいが相場。ウエスティは、ボディサイズが大きめのせいかダブルコートのせいか、ほかの小型犬よりも高めの印象だ。地方では5000円くらいからある。値段の差は技術の差である可能性もあるので、内容を確認したほうがいい。トリミングは1〜2か月に1回は行く。

上毛は硬いのでそんなに毛玉にならないし、汚れもはじく感じなのだが、柔らかい下毛はもつれやすいし、葉っぱやホコリを吸着してくる。また白い毛は汚れが目立つので、できれば毎日散歩から帰ったらピンブラシでブラッシングをする。オシッコなどが白い毛についたときもすぐ拭くようにしないと変色する。手入れなしに、清潔な姿はキープできない。ときに茶系のケアーン・テリアかと思うほど、変色してしまったウエスティを見ることがある。白い犬を選ぶ以上、手入れをきちんとすべき。不衛生なのは、犬の健康を損なう心配もある。

毛色


なりやすい病気

遺伝性
  • 若年性白内障
  • 股関節形成不全
  • レッグペルテス症
  • 銅関連肝疾患
  • 慢性活動性肝炎
  • 頭蓋骨下顎骨骨症
  • 糖尿病
先天性
  • とくになし
その他
  • アジソン病
  • アトピー性皮膚炎

魅力的なところ

  • 可憐な白い被毛の、愛らしい姿。
  • プライドが高く、鼻っ柱が強いおきゃんな性格。人なつこく快活なテリアらしさ満載。
  • 遊び好きで、陽気でいつも元気いっぱい。散歩大好き。
  • ときどき大暴れする場所と機会を与えてあげれば、都市部でも飼える。
  • 中型犬や大型犬に負けないくらい、散歩やゲームが一緒に楽しめる手応えのある犬。
  • 小型犬だが、過敏でよく気がつき、テリトリー意識も警戒咆哮もできるので番犬向き。
  • 頑張れば、キャリーバッグに入れて公共交通機関を利用できる。

大変なところ

  • テリアの中でも高ランクのテリア気質。かなり手強い。
  • 見た目の可愛さに騙されてうっかり飼って、苦労する飼い主多し。気の弱い、気の優しい飼い主にはきっと無理。
  • 過敏性・無駄吠え・子供を咬む行動特性は、多くの犬種の中でもトップクラス。
  • 他犬への攻撃性は高め。ドッグランでみんなと仲良くできるタイプではない。
  • 訓練性能は中くらいだが、トレーニングにはコツと忍耐力が必要。
  • 運動好きなので小学生高学年以上の子供の相手も辞さないが、犬への扱いが無礼だと咬む事件が起きるかも。
  • 騒々しい乳幼児・小学生にいる家庭では、落ち着きがない犬になる可能性あり。
  • 敏感でよく気がつくので、隣人の足音や物音にも反応し、警戒吠えしやすい。
  • 小型犬だがとても活発。運動不足、刺激不足だと無駄吠えやイライラなど問題行動に発展しやすい。
  • 白い毛を清潔に保つためには毎日の毛の手入れ必須。
  • ほぼ毎月トリミング代がかかる。
  • 遺伝性疾患がそれなりに多いので、ブリーダー選びは慎重に。

まとめ

まずはテリア気質を理解する

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
テリア気質とは、気が強くて、興奮しやすく、勇敢すぎて血気盛んで、頑固で、気難しく、自立心旺盛。臆病ではなく、快活で、明るく、おきゃんな楽しい性格。もともと、ネズミやウサギ、キツネなどをいたぶり殺すのがテリアの仕事なので、そういうテリア気質は立派な優れた才能だ。けれども、猟犬やネズミ殺しの仕事をさせるつもりがなく、家庭犬として飼う場合は、可愛い部分とコントロールが難しい部分の両方を持っているとまず理解すべきである。

テリアは小型犬がほとんどなので、世界でも日本でもコンパニオンとして人気がある。でも欧米の人は、小さいけれどそのたくましいテリアらしい性質を理解していることも多いのだが、なぜか日本人は、ただ小さいから飼いやすそうとか可愛いから欲しいなどと外貌だけで選びやすいので、あとで不幸が起きる。
もともとテリアは、抱っこされるために小型のサイズでいるわけではない。穴に逃げ込んだネズミを追いかけ、地面を掘って捕獲するためである。そして捕まえて噛み殺すのが本業である。勇敢なのも、興奮しやすいのもそのためだ。自己判断能力が高く、頭の回転が速く、自主性が高く、人間への依存心が少ない(服従性が低い)のは、自己判断でハンティングをするのが仕事だからである。だから、人間と共同作業しながらハンティングの相棒に使われるラブラドール・レトリーバーのようなガンドッグ達とは違い、「呼ばれたらいつでも飛んで来る」犬とは本質が違う。素直で従順な犬が理想なのであれば、テリアを選ぶべきではない。

自分に自信のあるテリアは、他人の意見に従う気持ちが低く、しつけるには忍耐力が必要で、素人には難しい犬。でもテリアは頑固で気位が高く、へこたれないそういう強さが魅力なのである。だから世界中にテリア・ファンシャーが根強く存在するのだ。

よって日本人で初めて犬を飼おうとする人にお願いしたいのは、必ずその犬種の内面も見てほしいということ。外貌から好みの犬を見つけるのは確かに楽しいし、ワクワクする。それも否定しない。でも外見だけに惚れ込んでも、長続きはできないことがある。性格の不一致で離婚するのは人間夫婦ならよくあることだが、自分から一方的に惚れ込んで選んだ犬をあとで「性格が手に負えない」といって捨ててしまうことのないように、テリアの内面の性格をよく理解してから、伴侶にするかどうかを判断してほしい。

気が強くて、頑固で、人間に媚びたりしないのがテリアのいいところ。でもケアーン・テリアやスコティッシュ・テリアならそう誤解をせずに、テリアだと認識した上で選ばれるが、ウエスティの子犬は、白くてぬいぐるみのようで、マルチーズとどっちにしようかな、などと思われがち。テリア気質の認識不足が甚だしい。それがいちばん心配だ。

ウエスティは、テリアの中でも、すごくテリア気質の強い犬種である。白くて一見ソフトでマイルドなイメージがあるかもしれないが、外見と中味のギャップが大きい。勘違いしないで、優しそうな外見とワイルドな中身の両方に惚れる人だけが飼っていい犬。言い方を変えれば、その「ギャップ」がファンシャーにとってたまらない魅力なのだ。

コンパクトで扱いやすく、ほどよく頑丈

性格はかなりタフで、逞しく喧嘩っ早いが、8kgほどの大きさなので、引っ張られて飼い主が転倒するほどの力持ちではない。また子供がぬいぐるみ扱いして抱っこして落として犬にケガをさせるというほどヤワではなく(むしろ子供が抱きかかえるのは重くて無理)、そういう点ではほどよく頑丈で管理しやすい手頃なサイズといえる。

小学生高学年以上で、犬の扱いをきちんと学んでいる子なのであれば、元気で活発なウエスティは良き遊び相手になる。しかし、テリアは自尊心が高く、自分にとって不利益なことをもたらす相手(たとえばびっくりさせるとか、痛い目に遭わせるとか)には容赦しない。無礼者には咬む、吠えて警告する、などを行う。
親が子供にきちんと犬との接し方を教えることのできる家庭で、かつ陰で親がしっかり犬を見張り、監視し、コントロールできる環境でないのなら、子供にウエスティを与えるのは賛成できない。もう少しマイルドで気の優しい犬を選ぶ方が得策だ。

また、健康促進のための高齢者の長時間の散歩のお伴に、タフで活力あるウエスティは問題なくよき同伴者になってくれるが、すばしこく、興奮しやすく、また体高の低い犬なので、リードをつけようとしても静かにしてくれないとか、ドッグランで帰ろうとしてもなかなか捕まえられないなどの状態になる可能性はある。そしてなにより、高齢者が抱っこするには少々重たすぎる。その人がテリアに関して経験豊かで、それまでも同等かあるいは中型以上のテリアを飼っていたなどテリアの扱いをご存知ならばよいが、初めて高齢者が飼う犬としては適当ではない。

さらに年齢にかかわらず、気の優しい、気の弱い人に、気が強い、押しの強いテリア(とくにウエスティ)は、やはりお勧めしづらい。テリアに負けない強い精神力を持ち、「ダメなことはダメ」ときっぱり指導できる人、犬に対していつも一貫性のある態度で接することができる人が、テリアの飼い主にふさわしい。それができないと、犬がワガママし放題になり、飼い主に要求ばかりをしてくるような不良犬になりやすい。

とはいえウエスティは、これだけ欧米で家庭犬として長く愛されている犬である。家庭犬としての才覚がないと長くは評価されないはずだ。少なくともテリアの中では、ワイヤー・フォックス・テリアなどに比べたら扱いやすい性格である。
すでにウエスティを飼育中で手を焼いているのなら、テリアの生徒が多い家庭犬のドッグ・トレーナーを探して相談するとよい。ウエスティの訓練性能は中くらいだが、頭は良く、おやつなどのごほうびをもらえるトレーニングなど自分のメリットがあることはすぐ理解する。そうしたコツをトレーナーに教えてもらって、効率よく教えていけば、普通のよい子になるのにそう時間はかからないはずだ。

運動はたっぷり行い、機嫌を損ねないように

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
体重が8kg近くある活動的な猟犬(テリアも猟犬の部類である)なので、毎日の運動の時間はたっぷり必要。1〜2時間歩いたって、へっちゃらだ。そしてテリアは、好奇心もとても強い犬で、いろんな刺激も欲している。毎日出かけて、さまざまな世界を見せてあげてほしい。その際は、散歩コースの主導権は、つねに飼い主が握るようにする。

人間と並んで歩くだけではいい筋肉は育たないので、とくに若い時代にはドッグランなどで自由運動もさせよう。ウエスティは遊び好きの犬なので、ボールのモッテコイ運動も得意だし、障害物競走のようなアジリティーを楽しむことも好き。快活なテリアとたっぷり遊んでほしい。

また機敏でタフな体力の持ち主なので、ハイキングやキャンプなどのアウトドアのお伴もこなす。ジョギングにも付き合ってくれる。そう考えると、小型犬サイズながら潜在能力は高い。住環境の制限や腕力の自信のなさなどから中型犬や大型犬を選べない家庭にとって、テリアは素晴らしい選択肢の1つといえる。

白い犬は皮膚の弱い犬が多いことがある

フレンチ・ブルドッグ(パイドという白黒色)でもドゴ・アルヘンティーノでも、白っぽい犬は皮膚の弱い犬が多いが、ウエスティもアトピー性皮膚炎など皮膚疾患が多いとされる。白い被毛は汚れが目立ちやすいが、毛だけでなく皮膚の健康にも気を遣ってほしい。毎日のブラッシングは、皮膚の血行を促進したり、皮膚の異常を早期に発見することにも役立つので、こまめに行う。

そのほか若年性白内障という目の病気、股関節形成不全、レッグペルテス症などの骨関節の病気、遺伝性疾患の肝炎、また遺伝性ではないが輸血などが必要となることの多いアジソン病などの病気がある。特別に病気の多い犬とは思えないが、そこそこに病気を持つ犬なので、それなりの獣医療費がかかる準備はしておいたほうがよい。

ペット・クリップにしても、毛の手入れは毎日

テリアなので抜け毛は少なく、部屋の掃除はそこまで苦労しない。しかしウエスティはアンダーコートが豊富だし、換毛期もあるので、抜け毛がまったくないという誤解はしないように。

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
またほぼ毎月トリミングに通うことになる、トリミング代がかかる犬種であると認識しておくこと。ウエスティはボディサイズが大きめのせいか、ダブルコートのせいか、ほかの小型犬種よりも少々金額が高めのようである。毎月、自分の美容院代よりもトリミング代がかかると認識しておこう。白いお姫様をきれいに保つのは、お金も手間もかかるのである。
また、ショー用かペット用かでグルーミングの方法が違う。値段の差は技術の差であることも考えられるので、内容を確認すること。最近はお店のホームページなどを見て「安い」と思っても、よく見ると足の裏のバリカンや肛門嚢しぼり、耳掃除などが別料金のところもあるし、犬の扱いが粗暴なサロンもあると聞くので、内容や信用度をよくチェックする。テリア・ファンシャー同士の口コミを、ネットや公園散歩友達の間で共有するとよい。

白い毛は汚れやすいので、ブラッシングはピンブラシなどで毎日行うとよい。口の周りやお尻の周りも、汚れが付着したままにしていると変色してしまうので、こまめに拭き取る。

また子犬の頃は、まだパピーの毛なので毛も長くなく、そうもつれないが、だんだん大人の毛に変わってくると毛質や毛量が変化する。成犬になって毛がもつれてからコームやブラシをしようとすると怖がって嫌がったり、痛くて怒って、手入れをさせてくれない犬になることもある。子犬のときから、ブラシでそっと撫でるなどの練習をして、グルーミング・タイムを習慣化させよう。

このページ情報は,2014/11/08時点のものです。

本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。

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